AT(CVT)の点検方法を知ろう(ユーザー車検)

AT、CVTの点検

定期的にATの状態をユーザー点検しましょう

シフトレバー
車を使っていれば、内部の部品が少しずつ摩耗していき、ATフルードも劣化する。そして、加速性能が悪くなったり、シフトレバーを操作しても実際の変速が少し遅れたりといった症状が現れます。燃費が悪化したり変速ショックが増大することも多い。しかも少しずつ悪化していくので、意外に体感できず、気づかないことも多い。もちろん、ATを分解して内部を清掃したり摩耗した部品を交換するオーバーホールを実施すれば、新車時に近い状態に戻すことが可能だが、費用面から考えれば現実的ではない。一般的な対応としてはATフルードを交換することだろう。従来よりエンジン回転数が高いといった症状や、ペダルを一気に踏み込んでもキックダウンして加速しないという異常は、気がつきそうなものだけれど、現在のクルマは静粛性が高いため、タコメーターを見なければエンジン回転数が従来より高いことに気づかないこともある。キックダウンは使う機会がなければ異常に気づけないことになる。ここまでの症状になると、いつATが故障して走行不能になるかわからない。危険な状態といえます。こうした事態を防ぐためにも定期的にATの状態をユーザー点検しましょう。これはCVTについても同じことがいえます。

ATの機能、機構の点検

ATの機能は実際に走行してユーザー点検を行う。いつものように発進から加速していき、変速のタイミングをチェックし、それが従来とかわっていないかを確認すればいい。最近のAT車は変速ショックがかなり小さいが、それでも意識を集中すればなんとかわかるもの。タコメーターがあれば、変速の際にエンジン回転数がいったん下がるので一目瞭然だ。また、走行中にシフトレバーを操作して、それに応じて変速が行われるか、前方が安全な場所で一気にアクセルペダルを踏み込んでキックダウンが行われるかも確認するといい。ODスイッチがある車種なら、スイッチを切り替えることで変速が行われるかもチェックすべきだ。ATには各種の誤操作防止機構が採用されている。Pレンジにしないとキーが抜けないキーインターロック機構と、ブレーキペダルを踏まないとPレンジからはかのレンジに移動できないシフトロック機構が、正常に機能しているかも確認しておいたほうがいいでしょう。

ATフルードの点検方法

ATフルード
ATの動作や操作機構以外で点検が可能な部分はATフルードの量です。法定日常点検には定められていない点検項目ですが、ATフルードが不足した状態で走行すると、走行不能になることが多い。変速異常が起こってハンドルなどを操作ミスして事故に至る可能性もある。ATフルードはエンジンオイルのように消費されるフルードではないので、漏れが発生しなければ減ることはない。しかし、クルマが古くなるとわずかな漏れが続いて、適量を下回ることもある。クルマが新しくても、悪路などでクルマの床下をぶつけたりするとフルード漏れが起こることがある。やはり定期的に点検したほうが安心でしょう。ATフルードの量はエンジンルームのレベルゲージで測定する。扱い方はエンジンオイルのレベルゲージとまったく同じだが、測定を行う環境が違う。エンジンオイルはエンジン停止状態で測定するが、ATフルードはアイドリング状態で測定する。また、測定前にはATフルードを温め各部に行き渡らせるために一定のシフトレバーの操作が必要だ。さらに、レベルゲージの目盛りにも違いがある。上限と下限の目盛りを使うことにはかわりないが、HOTとCOLDの2種類の目盛がある。このうち通常使用するのはHOTの目盛。COLDはフルード交換など、限られた状態で使用するものだ。こうしたエンジンオイルのレベルゲージとの違いを間違えないように注意して測定しよう。

スポンサードリンク